謎の感謝

 試料採集のため山に行ったある日のことです。帰り道の車の中で僕は寝ていました。起きると真っ暗でした。真っ暗な中、車に乗りながら、街を見ていました。
 知らない土地で、知らない人たちが、どういう風に生きてるのか知らないけど、なんとか生きていた。そして彼らは平然と生きているように見えた。彼らは「なんのために生きてるんだろう」なんて考えてないように見えた。慣れない場所で、真っ暗で、心細かった僕の目に、その様子はとても頼もしく映った。僕のために彼らは生きててくれているような気がして、とてもありがたく思った。