自意識

 テンションが高い時、人はいつも通りの事を嫌い、変わった事を好む。さらに、「何かが事実であるかどうか・重要かどうか」に興味を持たない。


 コルサコフ症候群という病気がある。その患者は長期記憶ができず、記憶を数分も維持できない。だから、彼らは発症してからの記憶がない。彼らの中には、周りに人がいると、冗談や作り話を言い続け、静かにできない人たちがいる。つまり、そういう人たちは、周りに人がいると、いつもテンションが高い。コルサコフ症候群の患者で、特別テンションが高くない人は、周りに人がいると、不安になる。


 自閉症でない人は、他人を意識すると、自分がどんな人間であるかを意識する。そんな時、最近の記憶を持たないコルサコフ症候群患者は、自分について正確に考えると、記憶と現実の自分の大きなズレに気付き、不安になる。テンションを高くして、いい加減に考えると、不安にならない。


 ところで、自閉者は自意識がないと言われる。彼らは、「彼らからすると刻々と変化し続ける自分」を意識したとき、自分を理解できないのが嫌だから、自分を意識しないようにしてるのかもしれない。