親しみを感じたり感じなかったりすることについて、一般人は説明を欲する。

 カプグラ症候群とは、その患者が、親しい人(ふつう、両親、子供、配偶者、兄弟姉妹)を偽者だと思うようになる症候群。その妄想は、次のように説明される。つまり、その患者が、親しみを感じるはずの人に、親しみを感じない。という現象を、その患者自身が説明するために、作り上げる。


 また、これと正反対に、道行く人たちのほとんどが家族の誰かに見える人たちもいる。


 コタール症候群とは、その患者が、自分は死んでいると断言する症候群。その妄想は、次のように説明される。つまり、その患者が、外界のどんな刺激に対しても情動的な反応を示さない。という現象を、その患者自身が説明するために、作り上げる。


 これらの話を読んで、ネット上で見かける、こんな人たちを思い出す。つまり、ほんの少しの情報から、他人を在日外国人だとか、アスペルガー症候群だと決め付ける人たちだ。彼らは、彼らが親しみを感じない人たちを説明を欲しがり、その説明は、明らかに無理がある。また、彼らは、自身が普通であることを強調する。彼らは、人一般への親しみに対して、異常な執着がある。


 そういえば、僕は、「人間じゃない」と言われたことがある。あれも、あの人が、僕に対して親しみを感じないという現象に対する無理な説明だったのだ。