統合失調感情障害

ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記 (新潮文庫)
 この本の感想。


 何かと何かを関連付けたい、中でも特に自分と何かを関連付けたいという欲求はほとんどの人が持っているが、その欲求に捕らわれてしまうと統合失調症になる。(正確に言うと小林氏は統合失調症ではなく統合失調感情障害らしいが。)1986年に小林氏は「自分のイメージがこの世界を作ってる。あるいはこの世界そのものだ。」と気付くことで自分と何かを関連付けることによる究極の快楽を体験してしまった。(強すぎる快楽を味わったのち反動で壊廃と呼ばれる強烈な不安を味わう。覚醒剤を摂取した時のように。しかもその後しばらく現実への認識が生活に支障をきたすほど不正確になるのだけど。)あとがきで望月氏が「小林君は現在の病気を完治させたいのだろうか」と語っているように、以降、小林氏はその快楽を忘れることができないでいる。統合失調感情障害が寛解するとは、「「世界は自分が作ってる」という感覚に伴う究極の快感を再び得ようとすること」をあきらめることなのだろう。


 生き残ることを人生の目的とするなら、周りに同調する快感や、たくさんの人から認められる快感以上の快感を知ってはいけないのだろう。ましてそれらを不快に思う場合はなおさらだ。


 ところでこの本には連想ゲームをしてるだけで次々と大発見をした気分になる記述があるけど、これは僕にもあった。今思うとあれは躁だったのだが、躁のときでも他人と直接関わろうとしなかった。


 単なる統合失調症は、前兆無しに幻聴や幻覚が生じる上、躁鬱などが伴わないので別の病気とされてるらしい。脳を見ると共通の特徴がみつかりそうな気がするけど。