とある重度のアスペルガー
彼は
- 幼稚園のときから研究者になることが夢だった大学院生
- 他人と一緒にいるのが苦痛で、友達と遊んだことはほとんどない
- 他人の気持ちが全く分からない
- 中学から『大学への数学』を解くのが朝の日課
- 小学生のときに、数人に呼び出されて、殴られたトラウマがある
- 毎日、分単位で同じ時間に、同じことをする
- 電車マニア
彼が電車に乗ると、目の前で、7人掛けの座席に、4人で座る高校生たちがいた。いじめられた記憶がよみがえった。隣には杖を付いた老婆がいた。
「ちょ、ちょ、ちょっとおかしいですよ。君たちが座っているのはおかしいです。席を譲らないのはおかしいです」
「誰だよ、でめえ!」
「僕は田中一郎です」
「は?ふざけんなよ、この野郎!」
「はい、ふざけません。僕はまじめです。この席は7人掛けです。あなたたちは4人で座っています。お年寄りが立っています・・・」
「うるせえんだよ!」
彼は胸倉をつかまれた。
「ワー!」
持っていた傘を振り下ろすと、相手のほほに当たって血が出た。警察に保護され、事情を聞かれると、「僕は間違っていません」と反省しなかったので、精神科に連れて行かれた。
どうしてこんな風に育った。いじめられるくらいなら、隔離したほうがよかったのか。