自閉者―15

 「自閉症者は遊ばない」とこの2冊の本に書かれている。アホみたいに。これはこういう意味らしい:自閉症者は展開を予測できない事態を楽しむことができない。しかし、「遊ぶ」という言葉は「役に立たない(目的を持たない)行動を楽しむ」という意味も持つ。後者の意味において、余裕のあるとき、自閉症は遊ぶ。ややこしいので、「自閉症者は遊ばない」などと書くべきではない。だまされた。


 例えば、自閉症児は次のように役に立たない行動を楽しむ:砂を手に乗せたり落としたりする・手をじっと観察する・見たままの風景を描く・紙や粘土でいくつも同じ形を作る・聞いたままの音を声で再生する・など。これらは「彼らは同じ行動を繰り返している」とか、「彼らには創造性がない」と言われる。けれど、彼らは「健常者には同じに見える行動々々」の微妙な違いを楽しんだり、記憶とそれを再現した物の微妙な違いを楽しんでるのかもしれない。